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HSCとは?繊細で敏感な子どもの特徴と接し方、親ができることを解説します

HSCとは?繊細で敏感な子どもの特徴と接し方、親ができることを解説します

最終更新:2024.08.14

記事の目次

サマリー

この記事では、HSC(繊細で敏感な子ども)とは?特徴や、親ができる接し方、具体的な声かけ例などを紹介しています。自己肯定感を高め、HSCの特性を活かすサポート法を詳しく解説しています!

子どもが繊細で、ちょっとしたことで傷ついたり、疲れたりしてしまう場合、その繊細さはもしかするとHSC(Highly Sensitive Child)かもしれません。

感受性が高いために、傷つきやすかったり、疲れやすいという特徴を持つのがHSCです。

HSCの子どもが持つ感受性を理解し、適切にサポートすることで、子どもの自己肯定感を高め、HSCの特徴を強みとして伸ばしていくことができるでしょう。
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記事の執筆者

こんにちは、あらいです。一児の母です。
臨床心理士・公認心理師として医療機関でカウンセリングをしています。
子育ての悩みは、子どもの成長に従って次から次へやってきて、なかなか尽きることがありませんよね。
皆さんの日々の子育てに役立つ情報発信ができたらと思います。
よろしくお願いいたします。
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HSCとは、その特徴は?

HSCとは?HSPとの違いは?

HSCとは、アメリカの心理学者エレイン・アーロンが提唱した概念で、「Highly Sensitive Child」つまり「人一倍敏感で不安を感じやすい子ども」の頭文字をとったものです。

HSCは、20%程度の子どもが該当すると言われており、とても身近な概念です。

似ている言葉で、同じくよく耳にするHSPは「Highly Sensitive Person」つまり「人一倍敏感な人」を意味しています。HSPが大人を含めた幅広い概念であるのに対して、HSCは子どもの特性や生活環境に特化した概念です。

HSCの特徴

HSCは、感受性が高く、環境や周囲の刺激に敏感に反応するという特徴があります。

提唱者のエレイン・アーロンは、HSCの主な特徴を4つ挙げています。これらの特徴はそれぞれの頭文字をとってDOES(ダズ)とも呼ばれています。ひとつずつ見てみましょう。

情報を深く処理する(Depth of Processing)

HSCの子どもは情報を深く処理する傾向があります。普段から自然に、物事を多角的に考えたり、細部にまで注意を払っているのです。そのため、慣れない環境や集団生活で情報量が多いと考えるのに時間がかかったり人より疲れやすくなったりします。

刺激に過剰に反応する(Overstimulation)

HSCの子どもは環境からの刺激に敏感で、過剰に反応する傾向があります。そのため、大きな音や明るい光、人混みといった刺激の多い環境を苦痛に感じやすいです。

感情的に反応しやすく、共感性が高い(Emotional Reactivity and High Empathy)

HSCの子どもは共感性が高いと言われています。周囲の人々の怒りや悲しみといった気持ちを敏感に察知し、共感することができますが、同時に自分自身も感情的に消耗しやすいです。

刺激を過敏に察知する(Sensitivity to Subtleties)

HSCの子どもは周囲の細かい変化や微細な刺激を敏感に察知します。例えば、相手の表情の微かな変化や声のトーンの違いにすぐに気が付きます。

HSCの子どもが直面する困難

これらの特徴のために、HSCの子どもは以下のような困難や生きづらい感覚を経験することがあります。

学校でストレスを感じやすい

HSCの子どもは学校生活で多くの刺激を受け、ストレスを強く感じることがあります。また対人関係においても相手の感情を過剰に察知して疲れてしまうことがあります。

人が多い場所が苦手

学校と同様に、大勢の人が集まる場所では刺激が多く、その処理にエネルギーを費やしてしまうため、そのような場所へのお出かけを避けるようになることがあります。

いつも相手の気持ちを優先してしまう

他人の感情や要求を優先するあまり、自分の希望や感情を抑え込んでしまうことがあります。

しかし、HSCの特性は強みにもなります。感受性が高いことで、他者を思いやり人と深い絆を築く力も持っています。また感覚が鋭敏であるため芸術や学問の分野で力を発揮することもあります。

HSCの子どもの特徴を理解し、適切にサポートすることが重要です。

HSS型のHSC

HSCの中でも、HSS型(High Sensation Seeking)と呼ばれる子どもは、感受性が高く刺激に敏感で消耗しやすいにもかかわらず、好奇心旺盛で新しい刺激や経験を求めるという傾向があります。

そのため、HSS型の子どもは、新しいことに挑戦しようとする意欲が高い反面、その過程での疲労や感情的な消耗が大きく、自己管理やストレス対処が求められます。

HSS型HSCの特徴も、うまくサポートされれば、強みとして発揮されますが、そのためにはHSCの特性を理解し、適切な環境を整えることが重要です。


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HSCの子への関わり方:4つのポイント

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あなたが感じていることはとても大切だよ。どう感じたのか教えてくれる?

HSCの子どもへの接し方として大切なことは、その子の感受性の高さを理解し、尊重することです。具体的な対処法や声かけの方法は以下の通りです。

1.自己肯定感を伸ばす声かけ

「がんばったね!」

HSCの高い感受性は、創造力や共感力につながります。子どもががんばっていることを見つけて褒めることで、子どもの自己肯定感を育てることが重要です。HSC由来の困難があっても、高い自己肯定感で乗り越え、自分の力を発揮することができるようになります。

2.子どもの不安に共感する声かけ

「何があったの?」
「それで不安になっていたんだね」

HSCの子どもは日常生活で不安やストレスを感じやすいです。まずは子どもが何に困っているのか耳を傾けましょう。そして共感の言葉をかけることで、子どもが安心感を持ち、大人に助けを求めやすくなります。ここで一緒に対策を考えることができれば、子ども自身が問題解決の力を身につけることもできるでしょう。

3.自分の気持ちを表現し、自分で決める

「あなたが感じていることはとても大切だよ。どう感じたのか教えてくれる?」

自分の気持ちを押し殺すのではなく、言葉で表現できるように促しましょう。自分で決めることを尊重し、親が過度に口出しをしないことも大切です。これにより、子どもが自立し、自分の意思を持つことができるようになります。

4.苦手な刺激を避ける

子どもがどのような刺激に敏感かを把握し、可能な場合はその刺激を避けるようにしましょう。人が多い場所に行く際には、混雑する時間帯を避けたり、休憩できる静かな場所を事前にチェックしておくと安心です。

HSCは治せる?親ができることは?

HSCは医学的な診断名として認識されておらず、例えばDSM-5といった医療現場で用いられる診断基準にも記載されていません。

また、前述のようにHSCの特徴は共感性や創造性の高さといった強みと捉えることもできるものです。そのため、HSCを治すというより、HSCの特徴を理解し、その子の強みになるように伸ばしていくこと、苦手なことに対しては対策を考えていくことが大切です。

自己肯定感を高める

HSCの特徴を強みに変えるためには、自己肯定感を高めることが重要です。そのためには、子どもの努力の過程を褒めるようにしたり、自分はありのままで価値があるのだと感じられるように、日常的に感謝や愛情を伝えることが大切です。

苦手な刺激を避ける

前述のように、人混みを避ける、静かな場所で休憩を取るなどの対策をとっていきましょう。これによって子どもが心から安心して過ごせる環境を整えることができます。

HSCは発達障害?

HSCは、感受性が高く、環境や他人の感情に敏感に反応する子どもを指します。一方、発達障害は脳の機能に問題が生じている疾患です。HSCと発達障害は異なる概念ですので、HSCだから発達障害であるということはありません。しかし以下のような発達障害がある場合も、刺激に敏感であったり不安を感じやすいことがあります。

ADHD(注意欠如・多動症)

ADHDの特徴としては不注意、多動症、衝動性があります。周囲の刺激に敏感であるために、気が散ったり、じっとしていられなかったり、衝動的に行動してしまうことがあります。

ASD(自閉スペクトラム症)

ASDでは、コミュニケーションが苦手だったり、感覚が過敏だったり、行動や興味に強いこだわりがあるという特徴がみられます。

このように発達障害でもHSCと似た特徴がみられることがあります。しかし、発達障害の子どもは他者の意図を察知して対応したり場の空気を読んで行動したりすることが苦手という特徴も持っていることが多いです。HSCではこのような特徴はあまり見られません。

HSCで困った時の相談先

HSCの子どもを育てる親にとって、日々の育児の中で悩みや困難に直面することは少なくありません。「自分の育て方のせいではないか」と悩む方も多いですが、HSCはその子どもが生まれ持った特徴で、育て方によってHSCになるということはありません。困ったときは一人で抱え込まず、相談先に助けを求めましょう。利用できる相談先には次のようなものがあります。

自治体の相談窓口

各自治体には子育てについて無料の相談窓口が設置されています。保健師や助産師と話をすることができますので、自治体のHPを確認してみましょう。

児童相談所・こども家庭センター

児童相談所というと、虐待の通告などをイメージされるかもしれませんが、18歳未満の子どもの養育について様々な相談に応じてくれます。

学校・スクールカウンセラー

小学生の場合は、スクールカウンセラーや学校の先生に相談するのもよいでしょう。学校での様子を知ってくれているので、より具体的な対策を考えやすくなります。


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参考・外部リンク

参考文献
・串崎真志. (2019). ハイリー・センシティブ・チャイルド (HSC) の理解. 子ども・ 子育て支援 研究センター年報, 9, 65-70.
・Pluess, M., Assary, E., Lionetti, F., Lester, K. J., Krapohl, E., Aron, E. N., & Aron, A. (2018). Environmental sensitivity in children: Development of the Highly Sensitive Child Scale and identification of sensitivity groups. Developmental psychology, 54(1), 51.
・Baryła-Matejczuk, M., Artymiak, M., Ferrer-Cascales, R., & Betancort, M. (2020). The Highly Sensitive Child as a challenge for education–introduction to the concept.





2024/08/14 対象 3歳~

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2024/01/16 対象 5歳~

2023/07/12 対象 4歳~

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