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3~5歳の子どもが駄々をこねる時の心理と対処法・予防法を紹介します。
記事の目次
サマリー
お出かけや買い物先でと子どもが駄々をこねて困ったという経験がある方も多いかもしれません。今回は子どもが駄々をこねるときの心理や対処法・予防法を紹介します。
駄々をこねるのは子どもの成長の証でもあります。
適切な声掛けで子どもの成長を促しましょう。
記事の執筆者
3-5歳の子どもが駄々をこねるシーンとその心理について
駄々をこねることが多いシーン
駄々をこねる行動は、3歳から5歳の子どもにとって一般的な行動です。子どもが駄々をこねることが多いシーンには、以下のようなものがあります。
お買い物中に
子どもが特定の商品を欲しがるけれど、親がそれを購入しないという場合に駄々をこねることがあります。
食事中に
食べたくないものが出されたときに、駄々をこねることがあります。
お出かけ先で
外出先で子どもが不安やストレスを感じると、駄々をこねることがあります。特に予測不可能な出来事や長時間の待ち時間などが原因となることが多いです。
日常のルーティンの中で
日常のルーティンが変わると、駄々をこねることがあります。たとえば、就寝前の準備や日中の活動パターンの変化が駄々をこねる原因となることがあります。
友達との遊びの中で
友達との遊びの中で、おもちゃの所有権や使用時間に関する対立が生じると、子どもは自分の欲求を主張するために駄々をこねることがあります。このような場面は、社会的なルールや協調性を学ぶ機会でもあります。
親が家事をしているとき
親が家事や仕事に集中しているとき、子どもは注意を引こうとして駄々をこねることがあります。
いつもと違う環境で
新しい場所や不慣れな環境では、子どもが緊張し、不安を感じることがあります。このような状況では、駄々をこねる行動が発生しやすくなります。
体調が悪いとき
体調が悪いときには、普段は我慢できるような小さなことでも駄々をこねることがあります。
3-5歳くらいの子どもが駄々をこねる心理は?
子どもは、自分の感情や欲求を表現するために駄々をこねます。そのため子どもの行動の背景にある心理を理解して、対応することが大切です。駄々をこねる子どもの心理には次の5つがあります。
自我が芽生える
子どもは2歳ごろから自我が芽生えてきます。自我が芽生えると、「こうしたい」「自分でやりたい」「自分で決めたい」という気持ちが強くなります。自己主張が強くなるので「イヤイヤ期」とも呼ばれます。そして3歳、4歳、5歳と成長するにつれて自分でできることや考えられることが増えていくので、駄々をこねるようになっていきます。
気持ちを分かってもらいたい
3歳から5歳くらいの子どもは、自己主張はできるようになってきますが、まだ語彙が少なく、自分の気持ちを言葉で表現することが難しいことが多いです。悲しい、不安、寂しい、怒っている、といった自分の気持ちを言葉にして相手に伝えられるようになると、駄々をこねる行動は減っていきます。
やりたいことができない
お菓子を食べたい、水遊びをしたい等のやりたいことがあるのに、それができないとき、自分の気持ちを抑えることができず駄々をこねることもあります。特に5歳ごろになると友達と遊ぶ中で、「やりたいことができない」状況に陥ることが増えていきます。
気持ちのコントロールが難しい
嫌なことやつらい気持ちになったときに、自分で気持ちを立て直すことが難しくて、駄々をこねることもあります。
体調が悪い
子どもは体調が悪い時にも駄々をこねやすくなります。いつもは駄々をこねないようなことで駄々をこねていたり、いつもよりひどく駄々をこねている場合は、子どもの体調が悪いのかもしれません。
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3-5歳の子どもが駄々をこねる時の対処法・声かけ
気持ちに共感して受け入れる
子どもが駄々をこねたら、まずは「嫌なんだね」「もっと遊びたいよね」と子どもの気持ちを想像して声をかけてみましょう。子どもが何を訴えているのかわからないときは、子どもが言っている言葉を使って声掛けすることもおすすめです。
例えば、子どもが「違うの!」と言って駄々をこねていたら、「違うって言いたい気持ちなんだね」と伝えてみましょう。
気持ちに寄り添う声掛けによって、子どもは「わかろうとしてくれている」と感じることができ、気持ちが落ち着いていきます。
代替的な提案をする
自分のやりたいことがすべて却下されてしまうと、子どもは何とか主張を通そうとさらに激しく駄々をこねてしまいます。しかし、到底受け入れられないことも多いでしょう。そこで、「あと10分遊んだら帰るのはどう?」と別の提案をしてみましょう。
スキンシップをとる
この年齢の子どもは、まだ気持ちのコントロールが難しいため、つらい気持ちを収めることができなくて、自分でもどうしたらよいかわからなくなってしまうことがあります。抱きしめてあげたり、背中をさすったりしてスキンシップをとってみましょう。スキンシップによって得られる安心感で次第に気持ちが落ち着いてくることがあります。
感情がヒートアップしているときは拒否されることがあるかもしれません。そのようなときは無理強いせず、「ここにいるからね」と見守り、気持ちが少し収まってから試してみるのも効果的です。
乗り越えたときにほめる
子どもが気持ちをコントロールできたり、我慢ができたときは「我慢できてすごいね!」「よくできたね!」とほめる言葉をかけましょう。それによって、子どもの自尊心が高まり、適切に自己主張する力が身についていきます。
3-5歳の子どもが駄々をこねることの予防法
駄々をこねるのは子どもの成長の証ではありますが、頻繁に起こると親も子どもも疲れてしまいます。そこで駄々をこねるのを予防するためのポイントを3つ紹介します。
事前に話し合って約束をする
予期しない変化や予定の変更は子どもにとってストレスになります。特に自我が芽生えてくると、大人から「こうしなさい」と言われると不満を感じやすくなります。事前に「今日は○○に行くよ」と話し合い、予定を伝えることで、子どもが心の準備をする時間を与えましょう。例えば、スーパーに行く前に「お買い物ではおもちゃは買わないよ」と約束をすることで、子どもの期待と現実のギャップを減らすことができます。
選択肢を与える
子どもに選択肢を与えることで、自分の意思を尊重されていると感じ、駄々をこねることが減ります。例えば、「青い服と赤い服、どっちを着たい?」と聞くことで、子どもに自分で選ぶ機会を与えることができます。
体調管理をする
十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事、定期的な運動を心がけましょう。例えば、毎晩同じ時間に寝ることで、子どもの体内リズムを整えることができます。また、お腹がすいていたり、眠かったりしていても駄々をこねやすくなります。お出かけの際におにぎりやお菓子をもっていったり、お昼寝の時間を調整するとよいでしょう。
駄々をこねる子どもに避けた方がいい対応
駄々をこねる子どもに避けた方がいい対応を5つ紹介します。
子どもを叱りつける、怒鳴る
忙しいときや周りに人が多い場所で子どもが駄々をこねていると、つい大きな声で叱ったり怒鳴ったりしてしまいがちですが、そうすると子どもはさらに激しく駄々をこねたり、「自分の気持ちはわかってもらえないんだ」と学習することで自己主張する力が育たなくなる恐れがあります。
無視する
駄々をこねる子どもへの対処として、ときには「待つこと」も有効です。しかし、駄々をこねる子どもに対して、見ないふりや聞こえないふり等の無視をすると、子どもは叱りつけられたときと同様に傷ついてしまいます。待つときには、子どもの気持ちに寄り添いながら、「あなたの気持ちが落ち着くまでここで待っているよ」と伝えるようにしましょう。
全部言うとおりにする
子どもの気持ちに共感することは重要ですが、気持ちを受け入れることと子どもの要求を受け入れることは異なります。子どもの要求をすべて受け入れていると、子どもは駄々をこねれば要求が通ると学習し、適切な自己主張の方法を学ぶ機会を失ってしまいます。
一貫性のない対応をする
時には厳しく、時には甘やかすというように一貫性のない対応を繰り返していると、子どもはどのようにふるまえばよいかわからなくなり、駄々をこねるようになります。
他の子どもと比べる
「○○ちゃんはこんなことしないのに」と他の子どもと比べると、子どもの自尊心が低下し、劣等感を抱かせる原因になります。結果的に駄々をこねる行動が悪化する恐れがあります。
「駄々をこねる」と発達障害との関連性
駄々をこねるという行動は、どの子どもにもみられる一般的な行動です。しかし、発達障害の特性が駄々をこねる行動と関連していることがあります。特に自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder; ASD)や注意欠如・多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder; ADHD)をもつ子どもは次のような性質を持ちやすく、駄々をこねる行動が増加することがあります。
コミュニケーションを取りにくい
ASDやADHDの子どもは、他者と適切なコミュニケーションを取ることが難しいことがあります。そのため自分の欲求や感情を伝える方法として駄々をこねることがあります。
環境の変化にストレスを感じやすい
ASDやADHDの子どもは、環境の変化に対してストレスをより強く感じることがあります。このストレスを表現するために駄々をこねる行動が増加します。
衝動が制御できない
ADHDの子どもは、衝動的な欲求や感情を抑えることが難しくて駄々をこねることがあります。例えば、欲しいものが手に入らないときや、自分の意に反することが起きたときに強いストレスや不安を感じて駄々をこねることが多いです。
予測不可能な出来事が苦手
ASDの子どもは、予測不可能な出来事に対して強い不安を感じることがあります。特に日常のルーティンが乱れることに対してとても敏感です。
感覚が過敏
ASDの子どもは、特定の音や光、触覚などに対して強い不快感を示すことがあります。このような感覚過敏が駄々をこねる原因となることがあります。例えば電車の音や雷の音、ピアノの音などを過度に怖がって駄々をこねることがあります。
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参考・外部リンク
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https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/86264