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ASD (自閉スペクトラム症) の子の年齢別の特徴や子どもへの接し方・声かけのコツ
記事の目次
サマリー
「一人遊びばかりで他人に興味がない…もしかしてASD?」「こだわりが強くて言うことを聞いてくれない。どう接したらいいの?」
子育ての中でこのような悩みを抱える人は少なくありません。
ASD(自閉スペクトラム症)は発達障害の一つで、他の人とのコミュニケーションが苦手で、こだわりが強いといった特徴があります。この記事では、ASDの年齢別の特徴や診断基準を理解して、日常のコミュニケーションがスムーズになるような接し方や声かけのコツを解説しますので、ぜひご覧ください。
記事の執筆者
ASDとは?年齢別の特徴は?
ASDとは?
ASD(Autistic Spectrum Disorder(自閉スペクトラム症))とは以下のような特徴を持つ発達障害です。
コミュニケーションが苦手
例:他の人の気持ちを察する、自分の気持ちを伝えるといったことが苦手
こだわりが強い
例:興味の偏り、自分ルール、感覚が過敏
このような特徴によって、ASDの子どもは対人関係や日常生活で困難を感じやすくなります。
ASDの年齢別の特徴は?
それでは次は年齢別にASDの特徴を解説します。
1歳~3歳
この時期のASDの子どもには、次のようなコミュニケーションや言語に関する発達の遅れが見られます。
- 目を合わせない
- 名前を呼ばれても反応しない
- 自分の興味や喜びを共有しようとしない
- 言葉をあまり使わない
4歳~6歳
他の子どもとも遊ぶようになるこの時期では、次のような社会性に関する発達の遅れがみられるようになります。
- 一人遊びが好きで他の子どもと遊ぶのが苦手
- おままごとなどのごっこ遊びが苦手
7歳~12歳(小学生)
学校生活が始まるこの時期では、勉強や対人関係に関して次のような困りごとを抱えやすくなります。
- 興味を持てない授業で集中が続かない
- 空気を読めずに友達の輪に入れない
13歳~(中学生以降)
思春期に入るこの時期には、より複雑な社会性が求められるため以下のような特徴があらわれます。
- 集団の中での孤立感が強くなる
- ASDの特徴ゆえにストレスを感じやすくなり、精神的な不調を抱える場合がある
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ASDの子どもへの接し方や声かけのコツ
具体的な声掛けをする「この箱に片付けてね」
子どもに声をかけるときは具体的に伝えることを意識しましょう。例えば「ちゃんと片付けて」ではなく「おもちゃはこの箱に片付けてね」と具体的に伝えることで、子どもが混乱せずに行動することができるようになります。
見える化する「長い針が12のところにきたら出かけるよ!」
ASDの子どもは、「言葉で聞いて」理解するよりも「目で見て」理解することが得意です。例えば「あと30分で出かけるよ」ではなく「時計の長い針が12のところにきたら出かけるよ」と時計を指さして伝えてみましょう。
他にも、イラストや写真を使った「絵カード」を作ることもおすすめです。「おもちゃのカード」、「片付けのカード」、「お出掛けカード」と紙芝居のように提示することでスケジュールを伝えたり、コミュニケーションを取ることができます。このような工夫は「視覚支援」と呼ばれ療育などでも活用される手法です。
予定変更は早めに伝える
急な予定の変更は、変化が苦手なASDの子どもにとって強いストレスになります。そのため、いつものルーティンと違う行動をとる必要があるときには可能な限り早めに、上述の「見える化」も活用しながら伝えるようにしましょう。
ASDの割合、グレーゾーンは?知能が高い場合は?ADHDとの関係は?
ASDの割合
ASDは約100人に1人の割合で診断されています。性別による違いもあり、男性が女性の約4倍となっています。
ASDの診断方法は?
ASDの診断基準はアメリカ精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)」に記載されています。主な条件は以下の通りです。
- 社会的なコミュニケーションが苦手
- 行動、興味、活動の限定された反復的な様式が二つ以上あること
- 例:こだわりが強い、感覚が過敏など
- 発達の早い段階から上記の1,2の症状がみられること
- 上記の1,2の症状によって日常生活に支障をきたしていること
- 他の疾患による症状ではないこと
ASDの特徴のあらわれ方には個人差が大きいため、診断の際には専門の医師が慎重に症状や経過を確認します。問診や行動観察が行われ、必要に応じて発達検査などの心理検査も実施されます。
ASDのグレーゾーン
ASDの診断基準を満たさないものの、このようなASDの特徴を持っているという子どもたちは「グレーゾーン」と呼ばれます。
グレーゾーンの子どもたちは正式な診断がないために、ASDを対象とした公的な支援やサービスを受けにくくなります。しかし、日常生活に困難を感じることも多く、適切なサポートが求められます。
知能が高い場合のASD
知能が高いASDには、高機能自閉症やアスペルガー症候群があります。
言語能力や論理的な思考能力が高く、好きなことへの高い集中力も合わさって特定の領域で力を発揮することもあります。一方で、コミュニケーションの難しさやこだわりの強さといったASDの特徴は共通して持っていますので、同様に適切なサポートが必要です。
ASDとADHDとの関係
ASDとADHDとの違い
ASDとADHD(注意欠如・多動症)はどちらも発達障害の一つです。
ASDがコミュニケーションの難しさや強いこだわりなどを特徴とするのに対して、ADHDは不注意、多動性、衝動性を特徴とします。ASDにはコミュニケーションが苦手な一方で好きなことへの集中力が高いという傾向があるのに対して、ADHDには社交性は高い一方で物事への気が散りやすいという傾向があります。
ASDとADHDの共通点
ASDとADHDは異なる疾患ではありますが、日常生活での困難という観点からみると共通する点も多くあります。
例えば対人関係において、ASDの子どもはコミュニケーションの苦手さから他の人との関係を築きにくいという困難がありますが、ADHDの子どもでは衝動性や不注意の影響で失言が増えるために関係を築きにくくなることがあります。
また、ASDとADHDは並存することも多く、その場合は両方の特徴がみられるようになります。特徴のあらわれ方には個人差が大きいため、その子どもにあった支援を検討していくことが重要です。
ASDの原因・治すことは出来る?
ASDの原因
「自分の育て方が悪かったのではないか?」と悩む方も多いですが、ASDは先天性の脳機能の障害ですので、育て方が原因ではありません。脳機能の障害が生じるメカニズムは、完全には解明されていませんが、遺伝的な要因が複雑に絡み合うことで生じると考えられています。
ASDの治療
現在のところ、ASDの根本的な治療法は確立されていません。しかし、療育や薬物療法など個々のニーズにあった支援によって、症状を軽減させたり生活の質を向上させることができます。
相談する場所
ASDの日常生活での難しさ
ASDの子どもたちは、日常生活でさまざまな難しさを抱えています。友達とうまくコミュニケーションが取れなかったり、自分の生活のルーティンへのこだわりが強く、想定外のことにパニックや癇癪を起こしたり、こだわりや感覚過敏によって特定の服しか着られなかったり、人が多い場所に出かけることに苦痛を感じることもあります。
また、子どもとスムーズなコミュニケーションが取れないことや、子どもの癇癪やパニックへの対応で疲弊するなど、子育てをする家族が直面する困難もあります。
相談する場所
子どもがASDかもしれないと感じたら、家庭だけで抱え込まず専門家に相談しましょう。早期に適切な支援を受けることで子どもの可能性を広げることができます。また、発達障害の子どもを育てる親は孤立してメンタルヘルスの不調を抱えることも多く、安心して相談ができる場所を見つけておくことが重要です。
利用できる相談先には以下のようなものがあります。
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地域の保健センターや発達支援センター
臨床心理士などの専門のスタッフに相談をすることができ、必要に応じて発達の検査や問診も行われています。子どもの発達状況を把握し、医療機関を受診した方が良いかも含めて、対応を検討することができます。 -
かかりつけ医などの医療機関
ASDの診断は医療機関で行われますが、事前にASDの診断や治療が可能かどうかを確認しておくと安心です。信頼するかかりつけの病院がある場合は、まずはそこに相談し、必要に応じて専門の病院に紹介してもらうことも可能です。
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