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成長や老い、親子の愛情について子どもと一緒に考える絵本。「いしゃがよい」
声かけのシーン(背景・導入)
「エンファン エンファン ふたりはとってもなかよしよ」
この絵本は、エンさんとパンダのファンファンのお話です。
山にきのこ狩りに来たエンさんは、ある日山で泣いている子どものパンダに出会います。
エンさんが「きみはどこのこ?」と聞いても、子どものパンダは「ファファ」と泣くだけです。
エンさんは、パンダをファンファンと名付けて育てることにしました。
身体の弱いファンファン。
エンさんは、“ひとやまふたやま”気の遠くなるような道のりを、雨の日も雪の日もファンファンを自転車に乗せて医者通い。
エンさんは滑らぬようにそっとそっとペダルをこぎます。
エンさんの優しさとファンファンを大切に想う気持ちが伝わってきます。
「エンファン エンファン とってもとってもなかよしよ」
帰り道にはお決まりの歌を歌います。
子守唄のようなエンさんの優しい歌に安心したのでしょうか。
ファンファンはエンさんに寄り添って眠ります。
月日が流れるのは早いもので、ファンファンはすくすくと健康に育ちます。
その一方で、エンさんは少しずつ年をとります。
身体の調子が良くないエンさんを、今度はファンファンが自転車に乗せて医者通い。
帰りはファンファンが歌を歌います。
「エンファン エンファン ふたりはずっとなかよしよ」
長い間エンさんがファンファンに歌ってきた歌です。
その歌を聞きながら、大きなファンファンの背中で静かに涙を流すエンさん。
その涙はきっとあたたかい涙なのでしょう。
お互いを大切にする気持ちや感謝の気持ちは、長い年月のなかで自然と育まれていったんですね。
命あるものの成長、そして静かに老いていく様子がゆるやかな月日の流れとともに描かれています。
2人の重ねた日々がとても心地よく、やさしい気持ちになれる絵本です。
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エンさんとファンファンの姿に、自分の子育ての日々を重ねると、とても胸が熱くなります。
私はファンファンを、出産予定日よりも早く産まれた小さな息子のことを思いながら読みました。
初めての子育てはわからないことばかりで、息子が風邪をひいたり、いつもと少し様子が違うと慌てて病院へ連れて行っていました。ぐったりしている息子のそばで心配で眠れない日もありました。
あの頃のことを思い出すと、大きくなった息子の肩を寄せて、思わずぎゅーと抱きしめたくなります。
「元気に育ってくれてありがとう。」
一方でエンさんの姿は、自分の祖父の姿と重なります。
私が小さい時は、よく自転車の後ろに乗せてもらい、色々な場所に連れて行ってくれました。
風のにおい、車輪の回る音、祖父の背中の温もりと鼻歌。
長い月日の間に、ゆっくりと背中が曲がって小さくなる姿。
大好きだった自転車に乗れなくなり、杖で足元おぼつかずに歩く姿。
誰しもいずれは老いて終わりが来ることを、子どもながらに知りました。
毎日のように車椅子を押して祖父と散歩をしました。
「ありがとうありがとう」と言って秋の柔らかい陽射しのなか、車椅子に揺られにっこりと微笑む祖父の姿。
最期は、きっと今までの思い出をたどりながら、穏やかな時間が流れていたのかな。
そう考えると涙があふれそうになります。
読み終えた時、久しぶりに家族のアルバムを開いてみようかな、そんな風に思いました。
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