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レジリエンスを簡単に解説!子どもが逆境に立ち向かう力を育てるために知っておきたい事

レジリエンスを簡単に解説!子どもが逆境に立ち向かう力を育てるために知っておきたい事

最終更新:2024.10.22
レジリエンスは、「回復力」や「弾力性」とも訳され、災害や病気、人間関係のトラブルなどの困難な状況や逆境に直面したときに、そのショックから立ち直り、さらに成長していく力を意味する心理学の概念です。

心をボールに、ストレスを外部からの力に例えて考えてみましょう。

空気がしっかりと入ったゴムボールを想像してみてください。強く握れば一時的に凹みますが、手を離すとすぐに元の形に戻ります。これがレジリエンスの高い状態です。逆に、空気が抜けたボールや硬くて割れやすいボールのように、外部の力に耐えられない状態は、レジリエンスが低い状態です。

この記事では、子どものレジリエンスを高める方法について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
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こんにちは、あらいです。一児の母です。
臨床心理士・公認心理師として医療機関でカウンセリングをしています。
子育ての悩みは、子どもの成長に従って次から次へやってきて、なかなか尽きることがありませんよね。
皆さんの日々の子育てに役立つ情報発信ができたらと思います。
よろしくお願いいたします。
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子どものレジリエンスが高いと?低いと?要因や特徴など

子どもが高いレジリエンスを持っているかどうかは、その行動や感情のコントロールの仕方からうかがい知ることができます。レジリエンスが高い子どもと低い子どもの特徴を見ていきましょう。

レジリエンスが高い子どもの特徴

①困難に直面しても諦めない

=>挫折や失敗をしてもくじけず、挑戦し続けることができます。問題に対して柔軟に考えることができ、長期的な視点で物事を見られることが多いです。

②感情をコントロールできる

=>怒りや悲しみ、不安といった感情が生じたとき、その感情をうまく言葉で表現したり、適切な形で発散させたりして、感情に飲み込まれずに適切な方法で対処していく力を持っています。

③自己肯定感が高い

=>「自分はできる」と自信を持っているので、様々なことに勇気を出して挑戦することができます。失敗しても「次はうまくできる」とポジティブに捉えることができます。

レジリエンスが低い子どもの特徴

①困難に直面したときに、すぐに諦めてしまう

失敗への恐怖心があり、チャレンジすることを避けようとします。

②感情のコントロールが難しく、不安やイライラから抜け出せない

何か失敗をしてしまったときにその時のことが頭から離れず、長時間とらわれてしまうことがあります。過去の失敗についてぐるぐると考え込んで苦しくなってしまうことも。

③自己肯定感が低い

自分の能力に自信がなく、「どうせうまくいかない」と感じることが多いです。

レジリエンスが高くなる要因

レジリエンスの高低には生まれ持った性質も影響しますが、後天的に高めることも可能です。レジリエンスを高める要因としては次のような要素が挙げられています。

①あたたかい家庭環境やソーシャルサポート

家族や友人、学校の先生など身近な人とのあたたかい人間関係があるとレジリエンスが高まります。自分では対処できない困難な状況に陥ったときに助けを求めることができます。

②自己理解ができている

自分の考えや自分自身について理解していて、自分の特性に合った目標設定や行動ができると、ストレスを受けても柔軟に対処することができるようになります。

③問題解決志向がある

困難に直面した際に、解決策を探し、実行しようとすることを問題解決志向と呼びます。自分の力で状況を改善することができるので、レジリエンスが高くなる要因となります。


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レジリエンスの高い子を育てるためには?

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どんなことでも話してもいいんだよ
ここでは、レジリエンスの高い子を育てるために、日常的な子育ての中で実践しやすい方法を3つ紹介します。

安心できる環境を用意する

まずは、子どもが「安心できる環境」を整えることが非常に重要です。子どもは、心の拠り所となる場所や存在があってこそ、ストレスや困難に立ち向かうレジリエンスの力を培うことができます。

また、子どもが困ったときに気軽に話を聞いてもらえる環境も重要です。親が「どんなことでも話してもいいんだよ」と伝え、子どもが問題を抱えたときにすぐに話せるようにすることで、安心感が育まれます。子どもの意見を否定せず、日常的な対話を大切にし、子どもが「自分は聞いてもらえる存在だ」と感じることが、長期的にレジリエンスを育む基盤になります。

②感情に寄り添う

「悲しかったね」「腹が立ったね」など、子どもが感じている感情に対して共感し、その感情を否定せず認めるように声をかけていきましょう。

例えば、学校で友だちとのトラブルがあった場合、「そんなことで怒っちゃだめだよ」などと否定するのではなく、「そうか、それが嫌だったんだね」と、まずその気持ちに寄り添います。

感情を認めてもらい、自分の感情を言葉で表現できるようになることで、子どもは自分の感情を受け止めて対処する力を身に着けていきます。

③感情をコントロールする方法を提案する

レジリエンスを高めるうえで、感情をコントロールする力は不可欠です。問題を解決するためにはまずは感情を落ち着かせる必要があります。

どこでも簡単に試すことができるリラックス方法は深呼吸です。子どもが焦りや不安で心が押しつぶされてしまいそうな時、感情に寄り添いながら「ゆっくり息を吐いてみようか」と声をかけ、一緒に深呼吸してみましょう。

他にも、「ホットミルク飲む?気持ちが落ち着くよ」と子どもの好きな飲み物やリラックスできるアイテムを使って声をかけるのもよいでしょう。

このように、安心できる環境と感情への適切な対処法を身に着けることで、逆境の中でも自分の力で立ち直ることができるようになります。

子どものレジリエンスが低いと感じたら?

子どものレジリエンスが低いと感じる場合は、次のことを試してみましょう。焦らずに子どものペースに寄り添うことが大切です。

①感情に寄り添い安心させる

子どもがどんな感情を抱いているのか、特に不安や失敗への恐れなどに注意して、しっかりと受け止めてあげることが大切です。

「どうしてそう思ったの?」「それはつらかったね」と、直面している困難な状況や、そこで生じている感情について、共感する言葉をかけながら聞いてみましょう。それによって子どもは「自分のことをわかってくれる」と安心することができます。

②小さな成功体験をさせる

レジリエンスを高めるためには、成功体験が非常に重要です。大きな挑戦ではなく、スモールステップで、ちょっとした小さな目標から始めることで、子どもは「できる」という感覚を得て、自信を少しずつ育んでいくことができます。うまくいったときには、「すごいね」「頑張ったね」と声をかけることも大切です。

③問題解決の方法を一緒に考える

レジリエンスが低い子どもは、困難な状況に直面した際に、どう対応すればいいのかわからずに戸惑いがちです。そこで、親や大人が一緒に問題解決の方法を考えることで、子どもが自ら問題解決に向かう姿勢を身に着けることができます。

失敗したりうまくいかなかったとき、「次はどうしたらうまくいきそうかな?」や「一緒に考えてみよう」と声をかけましょう。そうすることで、子どもは自分の力で解決策を見つけ出す経験を積むことができます。

このとき、大人が解決策をすべて考えて教えるのではなく、「他にはどんな方法があるかな?」と一緒に考えることが大切です。子どもが解決策を考えられたら「いいね」「きっと次はうまくいくよ」と前向きな言葉をかけサポートします。

もし子どものストレスや不安が強く、日常生活に支障をきたしている場合は?

もし子どものストレスや不安が強く、日常生活に支障をきたしている状況が続いている場合は、以下のような専門家に相談することも検討しましょう。

学校・スクールカウンセラー

学校生活の中でストレスや不安を感じることが多い場合は、状況をよく知る学校の先生や、スクールカウンセラーに相談することが有効です。

自治体の相談窓口

それぞれの自治体には子育てや子どもの健康に関する無料の相談窓口が開設されていますので、自治体のホームページや広報誌を確認してみましょう。

医療機関・カウンセリング

ストレスから腹痛や頭痛、不眠など身体的、精神的な症状が出ている場合は医療機関を受診することも大切です。

エゴ・レジリエンスとは?違いは?

エゴ・レジリエンスとは、日常的なストレスに対して柔軟にエゴ、つまり自我を調整して状況にうまく対処して適応できる力のことです。

レジリエンスは、逆境など困難な状況から回復する力を意味しますが、エゴ・レジリエンスはそのような逆境だけではなくより日常的なストレスにも柔軟に適応できる力です。

例えば、「学校のテスト前に遊びたい気持ちを我慢して勉強できる力」や「自分の意見を勇気を出して伝える力」など、日常生活の中で感情や衝動をコントロールする力もエゴ・レジリエンスには含まれています。

このようにエゴ・レジリエンスはレジリエンスと重なる部分も多いため、レジリエンスを高めることでエゴ・レジリエンスも高めることができると考えられます。

まとめ

レジリエンスとは逆境や困難な状況から回復する力を意味します。

子どものレジリエンスを高めることは、長い人生の中で困難やストレスに直面した際、自らの力で乗り越え、成長する力を養うために非常に重要です。

子どもが安心できる環境を整え、感情に寄り添うことで、自己肯定感や感情をコントロールするスキルを育て、レジリエンスを高めることができます。

レジリエンスの低さが気になる場合は、上記に加えて、小さな成功体験を積み重ねたり、問題解決の力を高められるようサポートをしていきましょう。


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こんなお子さんにおすすめ!

3~5歳 男の子 女の子

参考・外部リンク

・齊藤和貴, & 岡安孝弘. (2009). 最近のレジリエンス研究の動向と課題. 明治大学心理社会学研究, 4, 72-84.
・平野真理. (2010). レジリエンスの資質的要因・獲得的要因の分類の試み――二次元レジリエンス要因尺度 (BRS) の作成. パーソナリティ研究, 19(2), 94-106.
・畑潮, ハタウシオ, 小野寺敦子, & オノデラアツコ. (2014). エゴ・レジリエンス研究の展望. 目白大学心理学研究, 10, 71-92.





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